現在、韓国に在住している私が日本に一時帰国した際に、夫(韓国人)の脱退一時金の所得税の還付の手続きを行いました。
この記事では、主にその所得税の還付の手続き方法に焦点を当てて紹介します。
- 脱退一時金の所得税の還付方法を知りたい方
- 脱退一時金を受け取ろうと考えている方(配偶者・パートナー等)
- 納税管理人に任命された方
※今回の記事は国税庁のHPと税務署の職員の方に教わりながら、実際に私が作成したもののコピーを見本としてご紹介しています。税務関係は更新されることが多いので、国税庁のHPでの確認をおすすめします。
1.脱退一時金と所得税
脱退一時金は請求者の所得になるため所得税が課されます。
1.1脱退一時金にも所得税が課される
非居住者が厚生年金の脱退一時金を受け取る場合、所得税が課されます。
脱退一時金にかかる所得税の税率は20.42%です。(国民年金は課税対象ではありません)
つまり、脱退一時金を申請して受け取れる金額は、全体の約8割になります。
2.所得税の還付とは
所得税の還付とは、納めた所得税が実際よりも多かった場合に、その差額を税務当局から返金されることを指します。
具体的には、年間で支払った所得税が、その年の所得や経費の控除によって実際よりも少なかった場合や、脱退一時金のように一時的な所得に対して源泉徴収された税金が実際の税額を超えていた場合に、その過剰分が還付されます。
所得税の還付は確定申告(退職所得の選択課税による還付のための申告)を行った後に、税務署から返金される形で行われます。
2.1所得税の還付のメリット
脱退一時金の所得税の還付を行うと、原則全額還付されます。
ですので、所得税の還付を申請した場合は脱退一時金を全額受け取ることができます。
還付を申請しない理由はないです!
必ず所得税の還付を申請しましょう‼
2.2 所得税の還付を受けるための条件と注意点
所得税の還付を受けるためには、納税管理人を任命しなければなりません。
脱退一時金を受け取っているときはすでに日本国外にいるはずです。
なので、請求者の代理である納税管理者が所得税の還付申請を行います。
なお、日本を出国する前に、納税管理人届出書を提出する必要がありますのでご注意ください。
- 納税管理者とは
-
法人や個人が納税に関する手続きを代行する人や組織のこと。
3.所得税の還付を受ける手続き
3.1所得税の還付申請の手続きと流れ
ここでは、実際の申請書の見本とともに順を追って所得税の還付方法を紹介します。
所得税の還付は、納税管理人にお願いして確定申告を行ってもらいましょう!
最初に「退職所得の選択課税による還付のための申告書」をダウンロードしましょう!
マイナンバーを持っていいればネット(e-tax)で作成できるのですが、すでに国外にいるのでマイナンバーは所持していないと思います。
まずは、請求者本人と納税管理人の基本的な情報を記入していきます。
- ・○○税務署長:提出する税務署の名称
・令和○○年○○月○○日:日付(作成日)
・令和○○年分:脱退一時金が支給された年度数
・「所得税及び復興特別所得税」を線で消し、「退職所得の選択課税」に書きなおす。 - ・納税地:納税先の郵便番号
・生年月日:納税者(請求者)のもの
・現在の住所又は居所事務所等:提出時の住所(韓国の住所)と出国直前の住所(日本で最後に住民票を置いていた住所)を記入
・氏名:納税者(請求者)の氏名をローマ字(外国人なので)
・令和〇年1月1日の住所:納税管理人の住所と氏名を記載する
・種類:分離に〇をつける
・電話番号:納税管理人の電話番号を記載する
脱退一時金の支給が決まった際に、脱退一時金支給決定通知書が送付されています。
その紙を見ながら記入を進めていきます。
この支給決定通知書で主に使う数字は、支給額と所得税額です。
- ・申請書の48、49、52、59:所得税額を記入します。
・還付される税金の受取り場所:納税管理人の口座情報を入力してください。
口座情報の記入ミスがあると還付金の振り込みが遅くなる原因になります。
記入を終えたら再度確認してください。
第二表の記入は、第一表より記入項目も少なく簡単です。
- ステップ2でご紹介したものと同じ情報を記入してきます。
・納税者(請求者)の現住所(韓国の住所)と日本出国直前の住所、氏名で記入します。※現住所と氏名はローマ字で記入してください。 - 所得の内訳は次のように記入してください。
・所得の種類:退職
・種目:脱退一時金
・給与などの支払い者:厚生労働省、千代田区霞ヶ関1-2-2
・収入金額:支給決定通知書の支給額
・源泉徴収額:支給決定通知書の所得税額
第三表で記入が終わります!あと少しなので頑張りましょう。
- 何回目?というぐらい記入してきた納税者(請求者)の情報を記入してください。
・特別適用条文:法は所得に〇をつけ、条は171と記入 - 退職㊁:支給決定通知書の支給額を記入
- ・退職(76)、総合課税の合計額:両方とも0と記入
- ・収入金額:支給決定通知書の支給額
・退職所得控除額:以下の表を参考に記入してください
退職所得控除額 | |
---|---|
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年越 | 70万円×(勤続年数-20年)+800万円 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円未満となる場合は、80万円) |
第一表~第三表まで記入できたら、申請書は完成です!
申請書のほかにも必要書類があるので、続けてご紹介します!
3.2必要書類と提出方法
<必要書類>
- 退職所得の選択課税の申告書(第一表~第三表)
- 納税管理人届出書(届け出していない場合のみ)
<納税管理人による提出方法>
- 郵便や信書便で所轄の税務署に提出する
- 所轄の税務署の受付に提出する
直接所轄の税務署に提出を兼ねて、相談に行く場合は事前に予約していくことをおすすめします。
国税庁の公式LINEアカウントからも予約ができます。
4.納税管理人の選定
4.1納税管理人とは|役割と責任
納税管理人とは、法人や個人が納税に関する手続きを代行する人や組織のことを言います。
納税管理人は、税務申告書の作成や提出、税金の支払いや還付手続きなどを代理で行い税務手続きに関する法令や規則に基づいて業務を遂行します。
納税管理人届出書ダウンロード→ここから
4.2納税管理人の選定方法とポイント
納税管理人に任命できる人の条件は一つです。
それは、日本国内に住所又は居住地を有することです。
夫の納税管理人は、私の母です。母は日本に住んでいるので住所を持っています。母が納税管理人となりますが、書類の収集や作成は私が行います。また、私達夫婦の最終居住地が私の実家だったので、日本に一時帰国した際に手続きがスムーズに行えるようにしました。
5.所得税還付のタイミング(振り込み時期)
ここでは、みなさんが一番気になるであろう還付金はいつ振り込まれるのだろう?という点についてお話していきます。
5.1所得税還付金の振り込み時期の目安
国税庁のHPにも記載されていますが、基本的に還付金の支払い手続きには1か月から1か月半程度の期間を要します。
還付金の支払いが確定されると「国税還付金振込通知書」というのが届きます。
5.2実際の経験から見た振り込みのタイミングと期待値
実際に私との夫の納税管理人である母が申請を行ってから還付金が振り込まれるまでの期間をまとめてみました。
申請から振込までの期間 | |
---|---|
申請書の提出 | 24.01.18 |
国税還付金振込通知書が届いた | 24.02.13 |
手続き開始日 | 24.02.22 |
還付金の振込 | 24.03.02 |
国税還付金振込通知書の手続き開始日から土日祝を除き7日目で振り込まれました。
手続き開始日の下に、注)書きで入金まで金融機関の休日を除き4・5日程度要する場合があります。と書かれていたので、てっきり手続き開始日から4,5日以内には振り込まれるものだと思っていました。
振込が遅く心配だったので、税務署の担当窓口に問い合わせてみました。
国税還付金振込通知書が届いたのですが、手続き開始日より土日祝日を抜き6日たった今でも振り込みがありません。いつ頃振り込まれますか?
手続き開始日の翌日から3連休ということもあり、振り込みが遅れている可能性がございます。もう2,3日お待ちください。振込通知書が手元に届いた方は、必ず振り込みがございます。
3連休や確定申告のピーク時が重なると銀行も込み合い、遅れることがあるそうです!
6.まとめ
脱退一時金の所得税の還付方法の説明は、参考になりましたでしょうか?私は確定申告は経験がありますが、脱退一時金の所得税還付は初めてでした。インターネットで調べてみたりもしましたが、いまいち理解できなかったので、直接税務署の相談窓口に予約しに行くことにしました。私のように同じような情報を求めている人の役立てばと思いまとめてみました。誰かの参考になれば幸いです。